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講談社やら集英社やらのライトノベル作家みみとミミの物書きブログ
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――本当の、即物的な、『奇跡』がほしくない?

――どっかの牛娘の話で出てきた悪魔さん


その前に、牛娘書きたい。

――ミミ


弁当箱を、でん、と。
彼女の体に見合わない大きなそれを机に乗せた。
その重箱とさほど変わらない大きさの箱いっぱいにおかずやご飯が詰められている。
やあ、健啖ですなぁ、とさわやかに昼の挨拶をしてあげた。
「ううぅ……どうしてこう、お母さんは加減というものがわからないのかなぁ……」
たぶん、あの豪快な女傑はよかれと思っている。
理屈はセーターと同じようなもの。食べれば、成長する。だから、たくさん食べさせよう。実に美しい親子愛だ。その弁当サイズが彼女の許容量をはるかに超えることを除けば。
しかし、そうであっても彼女は弁当を持って通うことをやめられない。
購買はレパートリー豊かだし、学食だって味がよい、だが――問題は彼女の小柄さに戻ってくる。
軽くて小さい彼女は、購買では押し負けて前に進むことができず、学食にいたっては行列に並ぶところから無理難題ときている。
ならば、自前で料理をしようにも、朝に母親に見つかればその目論見も潰えてなくなる。
もっと食べなくちゃ大きくなれないわよ、ほらほら。もっともっと。たくさんたくさん――と、結果は変わらないのだ。
「う゛ー……」
何をうなってるかね、このミニマムい生物は。
「誰が、ミニマムい生物かー!」
あなたです。
というか、残っているのは彼女くらいなもので教室はがらんとしている。
皆はくだんの購買だの学食だのに突撃しているのだ。
「も、もう食べれないよぅ……」
はい、お疲れ様。
ほんの十分ももたずに彼女はギブアップする。
弁当の七割はいまだ手付かずのままだ。
「……残り……食べる?」
喜んで。
てか、そのためにあなたと一緒に教室、残ってます。
おいしいんだよねぇ、おばさんの煮っ転がし。
「むぅ……なんだか、いいように使われてるような……」
キノセイキノセイ。ボクハ、キミトイッショニイタクテノコッタノサ。
「うーそーくーさーいー!」
あれ? ハシないや。貸してくれ。
「へっ……ええっ!?」
ひょい、と置いてあった彼女のハシを手にとる。
イスのすわりを正して、手を合わせ、いただきます、と声に出す。
ひとつひとつの動作はできるだけゆっくりと、ただし止まらないように。
煮っ転がしを摘み上げながらちらりと顔を覗く。うん、いいパニック具合です。
「まっ、ままま、まっ待って待って待って!」
食事時に大声を出すとははしたないですよ。見た目どおり子供ですか、ユーは?
「子供じゃなーい!」
ぶんぶん、と彼女は腕を振りたくる。
ああもう可愛いなぁ。だが、頭をかいぐりかいぐりなでなでしたい欲求をひとまず置いて、びしっととどめをさす。
大きく口を開け、ハシを口に近づける。
「だ、ダメーっ!」
はい、ハシ没収されましたー。
つまり、貴様に食わせる飯はない。そのまま空腹でのたれ死ぬがいい、というわけですね。
「ち、違うの! そういう問題じゃなくて!」
いいんですいいんです。わかりましたから。
ええ、ええ、僕なんてミジンコ並の生物ですよ。夏休みの金魚みたいな扱いで十分です。
ご飯なんてなくたって死なないとみんなみんな思ってくれればきっと死にません。
ああ……屋上って、グラウンドから何メートルくらいあるのかなぁ……。
「え、そ、その……あの……た、食べるのはいいのよ。食べるのは」
ははぁ、僕の手や口に触れればハシが穢れるというわけですな。なるほどなるほど。
大変失礼いたしました。あなた様の残飯を口にできるだけでも天上の喜びだというのに、わたくし、少々図に乗っておりました。深くお詫びいたします。
今度はあなた様の半径十メートル以内には何があろうとも近寄らないことをここに誓いましょう。
「そ、それもダメっ!」
真っ赤になって、涙目になって、おろおろとする。
うんうん、我ながらいい仕事だ。
「ふぇ? ――って、自分のハシあるのっ!?」
いただきまーす♪
うまいうまい。いいおかずだー。
でん、と置かれた弁当箱をはさんで……。


さあ、次行ってみよー!


窓の向こうを、ちらり、と。
初雪の舞うグラウンドを彼女は見る。
授業に集中しようとする意思とは裏腹に、雪が積もっているか五分ごと一分ごと三十秒ごと、ちらりちらりと覗いてしまう。
窓ガラスには一ヶ所、彼女の手元にだけ透明な部分がある。
こっそりと拭いたのだろうそこは、とてもとても小さい。
その小ささが彼女の後ろめたさを表しているようで、なんともおもしろい。
雪はお好きですかな?
「ひゃっ!? ……う、うん。嫌いじゃ、ないよ?」
後ろからかけられた声に少しばかり驚いて、それから彼女は小声でそう答えた。
嫌いじゃない、という文言にこめられた想いはいかほどか。
雪遊びが好きだなんて子供みたいなことはいえないけれど、嫌いだなんてそんなことはいえない。ならば、折衷案を、と。そんなところかな。
そうだねぇ、雪はいいね。
「だ、だよねぇ♪」
雪が嫌いな人なんていないさ。
交通機関の乱れなんかは怖いけれど、命の危険がないならば、ね。
「うんうんっ! いいよねぇ、雪のある風景が目に浮かぶようだよぉ……♪」
静かにしんしんと降り積もる雪、ライトアップされて夜景にきらきらと輝く姿、山の頂から見下ろす白銀の世界……いいよなぁ。
「あ、あれっ……?」
きょとん、とリボンが跳ね動く。
おや、どうかなさいましたかな?
まさか――雪合戦とか雪だるまとかそういう可愛らしーいことをお考えになっていたのでは……?
「そ、そんなわけないよっ!」
ほほぅ?
では、いったいどのようなことを?
「ゆ……」
ゆ?
「雪うさぎ……さん……」
ごめん僕は君のことを甘く見ていたようだなでさせなさい激しく今すぐに心から君を可愛がることをスポーツマンシップに則ったりスポーツマンシップを乗っ取ったりしてここに誓います。
「ふ、ふえぇっ!?」
あーもー、どうしてこんなに可愛い娘に育っちゃったかなぁ。いやむしろ育つな。全力を挙げて阻止する!
「わ、私はまだ成長期だから育つのーっ!」

廊下で窓に大きな円を描いた。
一緒に立っている僕に気付かれないよう、彼女はそろそろと。
窓の向こうを、ちらり。



以上、お疲れ様でした。

そうそう、すっかり忘れていたのですが、年内最後の更新で日記が100回を数えました。
わーぱちぱちー。

地味にそろそろ3万hitが見えてきたころだし……いやまあ、大手さんとは文字通り桁が違う数だけどね。


地道にがんばるので、ちょっとでも輪を広めてもらえるとミミが喜びます。

妹に胸がない、明日謎解き部分を中心に少しだけ修正を加えたいと思います。
変更内容は、ニコニコ動画にうpされているこのシリーズと同様です。
http://www.nicovideo.jp/watch/nm5681202

保存する方はお早めに。


コメントはさすがにないんじゃよー。

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無題
100回乙~

それにしても可愛いな~~
いいな~

これの続きを期待www
NONAME 2009/01/07(Wed)16:36:28 編集
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