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講談社やら集英社やらのライトノベル作家みみとミミの物書きブログ
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国論は真っ二つに割れた。

――ナレーション


このお話はフィクションです。

――ミミ


国論は真っ二つに割れた。

長きに渡って国の重要な産物はお茶であった。
茶葉の生産に適した広大で肥沃な大地。良質な水源が多くあり、またその量も豊富。天候も気候も安定していて、まさに絶好といえた。
国外への輸出はもちろんのこと、国内でもたくさんのお茶が求められ、国民はそれをよく楽しんだ。
お茶の飲み方も茶器も随分と研究され、彼らは穏やかにお茶を楽しみ、午後の垂涎を緩やかなものとしていた。
ところが、およそ百年前、その国にコーヒーが入り込んだ。
お茶の栽培に適した土地がコーヒー豆の栽培に適しているとは必ずしもいえない。しかし、幸か不幸かその国に根付いたコーヒー豆はとても良いものとなった。
いくら良質とはいえお茶に飽きた国民も居た。
彼らはこぞってコーヒーをたしなみ、これを新しいものとして受け入れた。
「お茶の緩やかな苦味ではなく、コーヒーのひりつくような苦味こそ至上のものなり」
彼らは声を高め、国の重要産業をコーヒーに切り替えるよう働きかけを始めた。
しかし、そんなことを悠々と許してはならない。我々にも生活がある、とお茶を生業とする国民は反発した。
「コーヒーは害悪だ。コーヒーをこの国に許してはならない。お茶こそ最高のものなり」

コーヒーのよさを伝えるつもりだった主張は攻撃的になり。
お茶を守ろうとするつもりだった主張も攻撃的になり代わった。

そうして、国論はお茶派とコーヒー派の二つに割れた。
国会では論議が重ねられ、舌戦につぐ舌戦を繰り広げた。
論説は声の強さでぐいぐいと押さなければならない。
相手が意見を引っ込めるわけがない。自分の好みへと転じるわけが無いのだ。ならば無理矢理力押しで通すべき。
声を張り上げ、相手の意見を否定し、無茶苦茶な論法でもとにかく押す。
双方が双方ともそう考えた。
もっとも、そんな議会では結論が出ない。
どんどん会期は延長され、いよいよ時間切れが差し迫る。
敵は国内だけではなく国外にもいる。急がねば急がねば。
いよいよもって慌てた彼らは夜通しで論戦を行った。
ノドが枯れてはお茶を飲み。眠くなってはコーヒーを飲んで。とにかく昼夜を問わずに言い合った。



十二日目の朝にお茶コーヒーが生まれ、国はひとつにまとまった。



去年の五月にお題をもらってスレで即興したものをちょこっと手直ししました。
もらったお題は『お茶』と『コーヒー』。個人的にも結構好きな掌編です。

「あれ? これ、ミミが書いたの? 雰囲気違くね?」

ってひともいるかと思いますが、私が書いてます。間違いなく。
というか、私がお題をもらって掌編を書くときは、こういう文体が多いです。

「こんなミミなんて嫌いだ!」

っていう意見も含めてなにやらご感想をお待ちしておりますー。


追記。
短いですがこれで完結してます。

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